心は香、体は花
空海思想の三つの柱
一 即身成仏。生きているだけで仏さま。
二 実践主義。行動が大事。
三 平等主義。ワンネス。
この中の二つ目、実践の大切さを表した言葉です。
心を洗うて香とし 体を恭んで花とす
(性霊集 巻八)
こころをあろうてこうとし、からだをつつしんではなとす。
心も体も清らかに、慎ましく。
仏前の香華のような人を讃えた言葉です。
空海の「実践主義」とは、決して厳しい修行のみを指してはいません。
また「書物ばかり漁る頭でっかちはだめ。感じ取ることが大事」とも。
花を飾り、香を焚くと、自然と気持ちが和み、ざわついた心が整ってきます。
自分が癒されていると、周囲の人たちにも安らかさが拡散します。
こんな話を高野山のお坊さんから聞いたことがあります。
「きれいな満月が湖面に映るには、湖面が穏やかでなければなりません」
満月を仏の慈悲だとすると、その慈悲を受けたい私たちの心が波打っていては、加護を受けられないというのです。
これが「加持」という言葉の意味だそうです。受け手側の意識や行動が大事ということです。
現実社会でも、双方向に共鳴すれば、優しさが広がっていくイメージです。
心を洗うて香とし 体を恭んで花とす
理屈抜きで、美しい言葉。
ただ唱えるだけでも、行動です。
そして
花を飾り、香を焚きましょう。まず、自分自身のために。